第1回「庶民が語る歴史ワークショップ」のご案内

第1回「庶民が語る歴史ワークショップ」のご案内です。
「庶民が語る歴史ワークショップ」は、市民と専門家がそこで出会い、リアルな自分史をめぐって対話ができるような恒常的な場所づくり(年4回)をめざしています。
民衆史や「下からの歴史」に関心を持つ市民の方々、また歴史学、社会学、哲学、人文学、自然科学の研究に携わる多くの専門家およびジャーナリストの方々のご出席をお願いする次第です。どうぞご協力のほどお願いいたします。

【第1回 庶民が語る歴史ワークショップ】
「長屋・サークル・フライス盤――学びと表現 サークル活動50年」
講師:鈴木金雪さん(フライス工、『樹影の中の鳩笛』の著者)
聞き手:蒲豊彦(京都橘大学)
司会:竹内真澄(桃山学院大学)
日時:7月30日(土)14:00-16:00
場所:社会文化センター

〈企画趣旨〉
「専門家が語り、市民が聞く」。そうした講座やカルチャーセンターは多い。だが、「市民が語り、専門家が聞く」、そうした講座はない。
現代日本は識字率が高いから、発信力を持つ市民は無数にいる。そうであるにもかかわらず、相変わらず発信者は知識人、ジャーナリスト、学者に片寄る。これはおかしなことだ。内容にふさわしい形式が出てこなくてはならない。形式が確立していないから、つまらない世の中が続くのだ。とすれば、いまこそ「下からの歴史」を市民と専門家が協力して創り上げる、双方向的コミュニケーションの実験が必要である。これを「庶民が語る歴史ワークショップ」と名づけよう。
「庶民が語る歴史ワークショップ」では、ふつうの庶民がリアルに自分史を構成する。そこに自分史からみた全体史が現れる。専門家は、この自分史=全体史を歴史的、社会的コンテクストに再結合する。語り手は自分を超え、専門家は自説を疑わねばならない。この場所と時間が学問の歴史を作りかえるに違いない。
第1回目の語り手は鈴木金雪さん(1951年生まれ)である。金雪さんは、中学卒業後島津製作所に就職し、島津工科学校で職業教育(現在も小規模だが残っている)を受けた。また金雪さんは、働きながら夜間高校や大学に通った。1970年前後、多感なときにヴェトナム反戦運動や学生運動に出会い、その後故鶴見俊輔氏がたちあげた「家の会」に参加した。鶴見は「縁あって鈴木金雪と知りあいになって、長い年月がたった」と記している。こうした体験からサークル活動の進め方に関する考え方を確立した。2010年に詩集『樹影の中の鳩笛』を発表した。中に「昭和56年×月×日未明、父は半年間入院していた老人病専門のN病院を抜け出し、岡崎疎水に身を投げた」「地位も名誉も財も求めなかった父は、実に不器用な人生を歩んだ不器用な男であった」とある。どきりとする。記憶の中の歴史を金雪さんは語れる人だ。これで現在一元論(いまとここがすべてであるというような世界像)を突破できるかもしれない。

〈金雪さんから一言〉
今、ふり返れば、僕はいろいろな挫折を含む、多感な青春時代を経験したと思います。その苦しみで手足をバタバタさせた結果、偶然がもたらす僥倖、つまりアクロバット的ともいえる思いがけない「人生の出会い」に恵まれました。夜間学校、市民講座、小集団による法話、市民運動、そしてサークル活動など、そこで出会った先生や友人たち…中略…私の「独学」には、あれこれ物を食い散らかすような落ち着きのなさが反映されてもいるだろうと思います。…中略…良くも悪くもこれが自分の世界なのだ、という事を改めて知ることになりました。

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